
ご飯やトイレ、おもちゃに寝床…。猫や犬と一緒に住むのは金がかかる、ということは当然知ってはいたが、グレ多はどうやら野良猫時代に負ったケガがいくつかあるようで、その治療にも金がかかっている。足の爪が一本、指の中で砕けて残っていたようで、指が膿んでおり、何度か病院に通った末に、先日手術をしてその爪を取り除いてもらった。
その指の膿が出始めてから、傷口を舐めないようにとエリザベスカラー(通っている病院の先生は、「ラッパ」と呼ぶ)をつけていたのだが、なかなか外せず、ちょっと可哀想でもある。でもエリザベスカラーをした猫は、どこか間の抜けた見た目になる。最初に買った、固いフェルトでできたピンク色のものは、愚鈍な花が咲いているようで、グレ多がいくらグレていてもかわいらしい。でもそれだと傷口に口元が届いてしまうので、先生にプラスチック製の固めのものがあることを教えてもらい、それを買ってずっと使っていた。透明で視界は多少はいいはずだが、やや重いのか頭を下げていたり、大きいのであちこちにぶつかったり、飯をよこせアピールのときにはカラーごと足にぶつかってくる。寝るときも邪魔そうだ。
本当はもっと自由に過ごしてもらいたいのだが、あんなものをつけていたらやる気も失うのだろう、グレ多は横になっていることが多くなった。ただその分食べることに楽しみを見出したのか、前ほど好き嫌いがなくなり、たくさん食べ、結果太った。最初にうちに来たときはちょっと痩せぎみだったので、まあちょっとくらい太ってくれても構わない。好き嫌いがなくなったのもよかった。野良狸にやる餌がなくなり、狸は困っているだろう。
でも食後は突然駆け出したり、ひとりでおもちゃやゴミと取っ組み合いをしたり、紐で遊んだり、右足にケガをしているとは思えないくらい元気だ。
と、ほしいレコードやCDも我慢して、なけなしのレア盤を売り払い、人間の食事は簡素なもので済ませ、そうして浮いた分をグレ多に捧げている。外に出て働けばいいのだろうが、それではグレ多と一緒にいられない。どこか旅行にも行きたいが、とてもそんな余裕はない。この生活はいつまで続くのだろうか。インフレは進んでいるし、「政治」はどうも悪化しているようだが、そんなものは元々どうしようもなく、誰が政権を取ろうが何かを期待するほうがバカらしい。そんなことを憂う暇があるなら、猫と遊んでいたほうがはるかにマシである。
(2025/10/26)
