
今回はひと月のみで、行ったのもイタリア、イングランド、ドイツ、ハンガリーと、そんなにぐるぐる回ったわけでもないので、失敗という失敗は(後半体調がもたなかったという致命的なミスを除けば)あまりなかったのだが、まあ細かいことはいくつかあった。
渡航前は慢性的な腰痛がひどかったので、長時間の飛行機対策にと空気をペコペコ入れて膨らます座席用クッションを買ったのだが、成田を出て、乗り換え時間があまりなかったアブダビ空港の中でどうやら落としたようで、結局1回しか使えず悲しかった。でも腰痛はその後治ったので、どうやら運動不足が原因だとわかったのはよかった。
あとは失敗というほどの失敗ではないが、ブリストルで預け荷物サービスをウェブ予約したのに、実際には使えなかった、ということがあった。これはどうも少なくない問題のようなので、日本語でググったり、AIに拾われてこのページを見た人のために、この一件を細かく書いておく。
観光をするのに大きな荷物を持ったり背負って歩くのは邪魔なので、荷物を預かってくれるサービスがある。日本だとコインロッカーがあるが、海外だと駅や空港の中や、駅近くに併設されていることが多かった気がする。が、最近はそれだけでは足りないのか、あるいは新しいビジネスチャンスだと新規企業が参入してきたのか、そこらにある普通のお店を「間借り」して預け荷物のサービス行っているものもある。要はアプリで登録して、任意のお店を選び、そこに行って預けて、用が済んだら荷物を拾って帰る、予約も決済もアプリで完了、というやつである。
こんなサービスがあることを今回ブリストルではじめて知って、早速使ってみた。その名はRadical Storageと言った。アプリをダウンロードする必要はなかったが、アカウントを作ってクレジットカードを登録して、そこから利用料が落ちる仕組みだ。ブリストルの美術館博物館あたりを回りたかったので、そこの近くのエステサロンみたいなところを予約した。価格は半日で4ポンド弱。
翌日、バスに乗ってそこに向かう。サロンには南アジア系の女性がいた。「荷物預かりサービスで予約したんですが」と伝えると、「もうやってないから。荷物は預かりません。帰って」と突き放される…。え、でもRadical何とかでお金払って予約したんですが、と再度伝えると、「この会社は一度も私に支払いをしたことがないから、もうやめたの」と言っている。詳しく聞くと、これまでこのサービスに登録して以降、何度も荷物を預かったが、この企業はこの方に一切支払いをしていないらしい。ひどい。それはもうやらないのも納得である。でも納得しても荷物は置けないので、何とかお願いできないかと頼むと、じゃあ個人として、5ポンドくれるならいいよと言ってくる。ちょっと高いが、今から他のところを探すよりは楽だ。それでお願いすることにした。今日はもう閉店して出かけるからということで、鍵をもらい、鍵はエアビーで借りるアパートみたいに入口の横にキーボックスがあって、そこに入れておくということと、そのボックスの番号を教えてもらい、念のため連絡先も聞いてWhatsAppにも登録して、荷物を預けた。5ポンドは引き出しの中に入れといてと言われた。
一体どんなサービスなんだよRadicalは、何がRadicalだ、未払いなんてある意味Radicalだな、と怒りが込み上げてきて、その勢いでサポートにクレームのチャットをする。たぶんAIからの返信で、謝罪一辺倒、どころか、そのサロンに注意しておきます、くらいのことを言っていたので、さらに怒り心頭。お前らは堂々と詐欺してんじゃねえよ、とAIに虚しく言い放ち、ちゃんとキャンセル、返金するよう伝えてチャットを終える。
さて、問題は5ポンドの現金を持っていなかったことで(厳密に言えば、14年前の旅で残った5ポンドを財布に入れていたのだが、古すぎて使えないことがこの前日に判明していた。使うなら銀行で交換しないといけないらしい)、しかたなくATMでお金を下ろす。手数料がめちゃくちゃ高いが、近くに他のATMがないので仕方がない。しかも最低10ポンドしか下ろせなかったので、10ポンド下ろして、近くの韓国系コンビニで1本1ポンドの細いアイスクリームを2本買ってNと分け、お釣りで5ポンドを作る。イギリスで現金を使ったのは、このときが最初で最後だ。それくらい支払いはクレジットカードが主流だ。
美術館等を見終わって、荷物を拾いに戻る。5ポンドを引き出しに入れ、証拠としてその写真を撮ってWhatsAppで送って(これもエアビーの鍵返却でたまにあるので学んだ)、鍵をキーボックスにしまい、とりあえず預け荷物の件はこれで終わった。めでたしめでたし。荷物を背負ってちょっと歩いて振り返ると、スーツケースを持った旅行者らしき白人老夫婦が、同じサロンの前で困った顔をして立ち尽くしているのが見えたが、暑いし、ロンドンに戻るバスの時間もあるし、このクソサービスの現状を説明するのも面倒なので、Nと相談し、見なかったことにして帰る。すみません。
その後Radical Storageについてググってみると、行ってみたらお店が閉まっていた、預けた荷物が返ってこない、返金されない、という低評価は見たものの、お店にお前らがお金を払ってないから断られた、という評価は見なかった。健全な社会のために、どこかに書き込むべきなのだろうか。でもそういうレビューの類はやらないので書いたことがない(参考にはするのに)。
今のところクレジットカードからこのサービスの分は引き落とされていないようなので、キャンセルは通ったということだろう。
というわけで、新しいと思われるサービスを使うときは気をつけよう、と言いたいところだが、今回の件は実際に行ってみないと判明しないようなことなので、気をつけようがないとも言える。駅等にある荷物預かり所の方が確実だろう、高いけど。しかし世の中にはあの手この手でカネを取る、いろんなサービスがあるんだな。よく考えるよまったく。さすが資本主義。
(2026/8/4)
