スピットボーイのルール 人種・階級・女性のパンク
ミシェル・クルーズ・ゴンザレス著
・「f visions」No.4【特集】東京五輪は何をもたらしたのか~フェミニスト視点で振り返る(アジア女性資料センター発行、2021年12月18日)/評者:松原三保さん
・ふぇみん 3305号(2021/12/5)
・週刊読書人 10月22日号(3412号)/評者:堀エマソンさん
・ミュージック・マガジン 2021年11月号(2021年10月20日発売)/評者:aggiiiiiiiさん
・レコード・コレクターズ 2021年11月号(2021年10月15日発売)/評者:行川和彦さん
・月刊情報紙「アナキズム」第19号(2021年10月1日)/評者:黒坂佑子さん
・図書新聞 第3512号掲載の岡和田晃さんの時評でご紹介いただきました。
「私の身体は私のもの」をスローガンに、1990年代のアメリカで活動し、今日に至るまで世界中のパンクスに影響を与え続ける、メンバー全員女性のフェミニスト・ハードコア・パンク・バンドSpitboy(スピットボーイ)。そのドラマー、ミシェル・“トッド”・ゴンザレスの2016年発表の自伝の日本語版が登場。
ミドルクラス白人男性が支配的なアメリカのパンク・シーンにおいて、チカーナ(メキシコ系アメリカ人女性)として、ミソジニー、セクシズム、レイシズム、暴力に正面から立ち向かい、日本を含む世界中をツアーで駆け巡り、女性の居場所を創造し、またその過程で有色パンクとしてのアイデンティティを探求した、ひとりの女性パンクロック・ドラマーの苦闘の記録。
まえがき:ミミ・ティ・グエン、マーティン・ソロンデガイ(Los Crudos, Limp Wrist)
女性である「私」のパンク―解説に代えて:ERIKO(M.A.Z.E.)
著者紹介:
ミシェル・クルーズ・ゴンザレス
Michelle Cruz Gonzales
1969年イーストLA生まれ。カリフォルニア州の小さな町、トゥオルミで育つ。1980年代から90年代の間に、Bitch Fight、Spitboy、Instant Girlの3つのバンドで活動。『スピットボーイのルール』出版後は、小説の執筆や、アンソロジー、文芸誌、ウェブマガジンなどに寄稿を続けながら、英語とクリエイティヴ・ライティングを教えている。
https://punk-writer-michelle-cruz-gonzales.com/
@xicanabrava
鈴木智士 訳
カバーデザイン:大田まさ子
四六判 並製 224ページ
日本語
1,700円+税
ISBN978-4-9910725-4-3
2021年7月23日発売
※一般書店、オンライン書店等での発売日は8月6日です。
目次より:
バンドはアイデンティティではない/ライオット・ガールのバンドじゃない/白人のクソ女を殺せ/パンク・ポイント/悪の華/The Threat―脅威―/パンクロック・ドラマーの女性版フィル・コリンズ/手を上げて出てこい/黙って演奏しろ/リトルロックへ行く/人種、階級、スピットボーイ/スピットボーイのルール/FishかFugaziか/ピート・ザ・ローディー/私の身体は私のもの/カート・コバーンが死んだ/最高の思い込み/ホームシックの処方箋/サウンドチェック、レズビアンたち、長いセット/荒い生存/日本人になる/スピットボーイ:創造の物語
※紙の書籍での読書が難しい場合はご連絡ください。PDF版を別途ご用意いたします。
(オーディオブックについては準備中です)
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本書刊行に合わせて、1995年のSpitboy日本ツアーを振り返ったジンも発売!
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本書への推薦コメント
『スピットボーイのルール』は、“トッド”というニックネームで知られていたチカーナ(メキシコ系アメリカ人女性)のドラマーの目を通して見た、90年代のパンク世界への魅力的で核心に迫る旅だ。トッドはライオット・ガールの音楽ではなくハードコア・パンクをプレイすること、またダンスフロアを男性と女性がお互いに尊重し合いながら共有することを主張し、あなたを揺り動かす。このドラマーは、チャチなビートは叩かない。読んで!
―アリス・バグ(The Bags)
鋭敏で心躍る、ミシェル・クルーズ・ゴンザレスの『スピットボーイのルール』は、90年代のパンク世界を、同じ量の情感とリアリズムをもって蘇らせる。彼女の物語は自己発見の航海となり、そして波乱万丈のツアー生活、女性同士のつながり、セクシストのファン、自分自身の文化を「盗用」だと非難されることを、速いドラムのビートに乗せて綴るゴンザレスは、その最高の舵手だ。
―アリエル・ゴア(作家、“Hip Mama”創立者)
私が読む機会を得た中でも、この本は最高のパンク回顧録だ。ミドルクラスの白人男性によって支配されたパンクシーンにおいて、4人の勇敢な女性が、コントロール不可能な山火事のような激しさをもって音を鳴らしたSpitboyの存在を忘れてはならない。ゴンザレスのパンクシーンへの影響と存在感は、有色のラディカルなフェミニストを体現したこと、またベイエリアのシーンにポジティブな変化をもたらしたことで、とりわけ重要だった。彼女のユニークな経験や視点をまとめながら、この回顧録はパンク史の中でも重要な瞬間を伝える。今もなお社会正義と変化を求め続ける人たちにとって、必読の書だ。
―ウェンディ・O・マティック(作家、“Redefining Our Relationships: Guidelines for Responsible Open Relationships”著者)
ミシェル・ゴンザレスのこのパンクロックの物語は、さまざまなレベルにおいて刺激的だ。アウトサイダー・アーティスト、女性のミュージシャン、それにこれまで未知の領域において自らのアイデンティティを確立しようと模索してきたあらゆる人たちにとって、この本は緻密で、偽りがなく、それに歴史的にも重要だ。明快かつ快活に語られるこの『スピットボーイのルール』は、楽しい読書体験である上に、インターネット以前の時代のDIYミュージックの、歴史的、批評的、そして社会政治的に重要な記録としての役割を担う。
―ジェシー・マイケルズ(Operation Ivy)
Spitboyの激しい音楽や言葉の裏に潜んでいたミシェルの葛藤や感情の機微。一人のメキシカン・アメリカンの女性=チカーナの回想記として細かに記された本書からは、アメリカの大義名分と現実のギャップを見て取ることができます。彼女の見てきた世界や感じたことを通じて相対化することで、ここ日本でも進行する人種差別やジェンダーの課題解決を有意に前進させることができるように感じます。「皆のためのシーン」「差別のない社会」に共鳴できる全ての人々に読んでもらいたいです。
―安藤直紀(元Ignition Collective)