ご飯を食べないグレ多

1月後半、『原初の叫びを上げるもの』の校正が大詰めになってきて、家では集中力が続かないので、こういうときは昔から図書館で作業することにしているのだが、出かけている間のグレ多のご飯をどうしようかと思い、小さめの自動給餌器を購入した。時間になるとカラカラと音を立ててカリカリが出てくるのが楽しいのか、最初はご飯の時間になるとすぐに駆けつけて食べていたし、もっと出せよオラと給餌器を倒しさえしていたのだが、やがて飽きてしまったのか、給餌器にあまり寄り付かなくなり、皿にカリカリが残るようになった。給餌器は同じ種類のカリカリしか出てこないので、常日頃からいろいろなカリカリをローテーションしているグルメなグレ多には、結局マニュアルであげるしかないのか。

入稿が終わって一段落して、グレ多と遊ぶ時間も元通りになったが、そのわりにはカリカリを残す量がまた増え、じゃあウェットフードをあげるかとグレ多の好きなミャウミャウジューシーをあげたが、それもひと口食べただけで残してしまった。他にも好きなウェットをあげたが、あまり食べない。まったく食べない日はさすがになかったが、普段の半分、あるいは1/4くらいにまで食べる量が減ってしまった。これまで食べたことのないカリカリを買って与えたり、鶏のささみを茹でてあげたりしたが、最初は食べるものの、翌日には飽きてしまった。

AIに聞くと、そこまで食べないのは口の中に何か異常があるのではないか、ということで、さすがに心配になり、いつもの動物病院の先生に連絡して予約を取り、グレ多を連れて行った。車の移動は本当に嫌いで、いつも道中はひたすら鳴いている。悲鳴に近いような声も出す。病院に着き、口を無理矢理開けて診てもらったが、歯には歯石が少しついているくらいで、概ねきれいだった。これで痛がる猫は少ないけど、逆に口の状態がひどくても気にしない猫もいるからね、と先生は言った。結局、口の中に問題はなく、今は猫の発情期で、そういう時期には去勢してても他の発情した猫の影響を受けて、3日くらい何も食べない猫もいるよ、とか、何か環境の変化があって全然食べなくなる猫もいるし、そういう猫もある日突然食べるようになるとか、まあ猫の気まぐれさ、気難しさという“精神面”に話は及んだ。念のために痛み止めだけもらい、車で帰る。また泣き叫ぶが、車で30分くらいかかるのでどうしようもない。「諦めなさい」と言っても、ニャーニャーとさらにわめくだけだ。
帰るとお腹が空いていたのか、何事もなかったかのようにカリカリを食べたが、翌日からはまたあまり食べなくなってしまい、いろんなペーストやウェットを試しては残される、ということを今も繰り返している。

家のまわりには野良猫が何匹かいることはこれまでに書いたが、その中に、白っぽい灰色をしたフワフワの毛をした猫がいる。仮にフワちゃんと名付ける。以前グレ多が部屋からフワちゃんを目撃して、天敵Kを見つけたときとはまったく違う反応を見せたことがあった。オドオドして、興奮するでもなく、でも会いに行きたそうな、そんな素振りを見せたのだ。フワちゃんの性別は知らないし、避妊手術されているかも知らないが(フワちゃんは2年くらい前からたまに見かけるので、どこかの飼い猫なのかもしれない)、もしかしたらグレ多はフワちゃんと過去に何かあったのだろうか。それでフワちゃんの存在を改めて確認して、食欲が減退しているのだろうか。と、人間は勝手に物語を作る。それ以降グレ多は1階の外が見える部屋でニャルソックをすることが増えた。もっと近くでフワちゃんに会いたいのだろうか。今度フワちゃんを見つけたら、グレ多を外に出してみよう。何が起きるだろうか。

(2026/3/24)