
暖かくなってきてグレ多はさらに外に出たがるので、この春からは時間だけ限定し、戸を開けっ放しにして、ある程度自由に外に出入りできるようにした。放置はよくないので、適当な時間に探しに行くのである。ただまわりは田畑や庭、森なので、いろんな植物が生えており、中には、というかかなりたくさんの、猫にとって有害な植物がある。でもグレ多は元野良猫で、私が保護するまで、このあたりで少なくともひと月は暮らしていたからなのか、そういった有害な植物を見分ける能力か本能でもあるのか、食べていい草と食べてはいけない草がわかっているようだ。といってもそれもただの気まぐれかもしれないので、最も有毒と言われる(野良)ユリは手当たり次第引っこ抜いた。
外に出たグレ多は、マーキングのために軒下でゴロゴロと転がったり、家の周辺をフラフラと歩いて草を食べたり、藪の中に突っ込んで行ったり、倉庫に入りたがったり、洗濯をしているとついてきたり、畑作業をやっているとついてきたり、昔のボットン便所の古い建物の屋根にどうにか上がるも、降りられなくなってニャーニャー鳴いたり、トカゲを捕まえてはいたぶったりしている。猫は残酷だ。別に食べるわけでもなく、トカゲを捕まえては放し、また捕まえては放し、と別の生物の命で遊んで、尻尾も取れてしまったそのトカゲは、だいたい翌日にはどこかで野垂れ死んでいるのを見つける。一度、私のパソコン作業机の横にトカゲが死んでいたが、これはグレ多からバカな人間へのプレゼントなのであろう。お前は自分でトカゲもよう捕まえんだろう、と。
ある日グレ多は、何か大きなものを咥えて車の下に隠れていた。近くに寄って見てみると、咥えていたのはスズメであった。その前に庭を駆け回っていたので、どうやら追いかけて捕まえたらしい。簡単に捕まえられるトカゲだけでは物足りないのだろうか。しかも車の下でそのスズメをムシャムシャと食べていた。さすがにびっくりしたが、昔リサ・ゲルマーノがライブ盤のMCで、「うちの猫が捕まえた鳥の死体をベッドに持ってくるんだよね…」と言っていたのを思い出し、猫は当然鳥も捕まえるのだろうと納得した。頭部と尻尾だけ残されたスズメの残骸はさすがに可哀想だったが、野良猫はきっとこうやって毎日生きているのだ。非情のアニマル・ライフ。
ときには他の野良猫がグレ多の「縄張り」に入ってくるようで、そういった猫と鉢合わせてしまったときには、グレ多は普段あまり聞くことのない低い唸り声を上げ、グルルルル、ギャー!とその野良猫を追い払ってしまう。フワちゃんとは会えたのだろうか。もう何年もこのあたりをふらついている宿敵Kを、猛スピードで追いかけていたこともあった。家の中からのニャルソックだけでは物足りないのか、グレ多は自ら外に出て、この家を守っているのだろう。猫もちゃんと責任を感じて日々働いているのである。でも外を走り回ったその汚い足のまま、私のベッドの上で眠るのはやめてほしい。やめないだろうけど。
そのリサ・ゲルマーノが猫たちにインスパイアされて書いたという曲。
(2026/5/19)
