【7/23発売】スピットボーイのルール 人種・階級・女性のパンク

昨年Debacle Path vol.2の中でこっそり告知して以降かなり延びましたが、Spitboy本ようやく発売です。

スピットボーイのルール 人種・階級・女性のパンク
ミシェル・クルーズ・ゴンザレス著

2021年7月23日発売


詳しくはこちら

まえがきはアメリカのジンスターで学者のミミ・ティ・グエンと、Los Crudos、Limp Wristのマーティン・ソロンデガイによるもの。そしてこの日本語版には、著者による日本語版あとがきと、パンクバンドM.A.Z.E.のERIKOさんに「解説に代えて」を書いてもらいました。
90年から95年までの6年間の活動で、アメリカ数回、ヨーロッパ、ニュージーランド、オーストラリア、日本と精力的にツアーしたSpitboyですが、その間に撮られた貴重な写真もたくさん載っています。

販売はいつも通り、全国の良心的レコード屋やディストロ、あと一般流通も(少し遅れますが)行います。
ひいきのお店でご購入ください。
Gray Window Press直販はピンバッジ付きです。予約受付中。

また本書刊行に合わせて、1995年8月に行われたSpitboy日本ツアーを振り返るジンも作成しました。

ジンの詳細はこちら

ジンの方は一般流通はなしで、レコード屋、ディストロ、サイト直販のみとなります。

よろしくお願いします。

劇映画の中のパンクス ―『処刑教室』からアンゲロプロスまで

そろそろ発売から1年経つので、この記事をこちらにも掲載します。
Debacle Path vol.2に掲載した記事に数本映画を追加し、関連動画も載せたものです。動画はYoutubeにフルで上がってるのが結構あるので、見つかった限りフル動画を貼るか(字幕はほとんどないですが)、もしくは文中で触れている「パンクス登場シーン」があればそれを、なければ予告編を貼っておきました。


劇映画の中のパンクス ―『処刑教室』からアンゲロプロスまで /鈴木智士(Gray Window Press)

目次:
イントロダクション
(1) 本当に悪いパンクス
(2) 社会的弱者としてのパンクス
(3) 体制に立ち向かうパンクス
(4) 成り上がるパンクス
(5) 風景としてのパンクス ――ニューヨーク、ロサンゼルス、ベルリン――
(6) パンクは孤独の音楽
(7) 希望としてのパンクス ――『エレニの帰郷』
パンクは再び〈脅威〉になりえるのか

イントロダクション

 パンクスは映画に頻繁に登場してきた。特にパンクが世間に広く認知されていた70年代後半から80年代あたりまでは、社会風俗を表すイメージのひとつとして、大なり小なり様々なスクリーンに映し出されてきた。
 また、パンクのムーブメントやバンドについてのドキュメンタリーもかなりの数の作品が作られてきた。『ウェインズ・ワールド』といった映画でも有名なペネロープ・スフィーリスが制作した『デクライン』三部作(『2』はメタルについてだが)などが特に有名だが、2000年代以降はCrassのような大物バンドを扱った『CRASS: ゼア・イズ・ノー・オーソリティ・バット・ユアセルフ』(2006年。英文をカタカナにしただけの長いタイトルはいい加減やめよう…)から、文字通りアメリカン・ハードコアをアーカイブした原作本を元にした『アメリカン・ハードコア』(2006)や、ボストン・ハードコアを扱った“All Ages: The Boston Hardcore Film”(2012年。監督は80年代のNYHCのバンド、Antidoteのヴォーカル。ボストンのストレート・エッジがいかに男性優位だったかが確認できる…)もあったり、あと昨年最後の来日を果たしたPoison Ideaのドキュメンタリー“Legacy of Dysfunction”(2017年)では、ヴォーカルのJerry Aがホワイトボードに合ってるのか合ってないのかよくわからないメンバーの変遷を書きながら過去を振り返る姿が楽しめる(再加入したギターのベジタブルが、映画内のインタビュー中にバンドを再び辞める発言をする、というサプライズ付き)。

 ただ、何でもかんでもドキュメンタリー〝作品〟にしてしまう昨今、中には大して面白くもなく、単なるノスタルジーやバンドの宣伝に始終しているものも存在する。ヤラセなのか何か知らないが、予告編を見る限り、バンドや対象に〝試練〟や〝問題〟、〝メンバー間の不和〟、そして〝知られざる秘密〟のような安いドラマを与えてお涙頂戴、というものが増えているような気がして(そもそも「ドキュメンタリーは嘘をつく」ものだ)、私自身は興味を失っているのであまり観ていない。でもまあそのバンドやテーマが好きなら、内容の良し悪しは問わず、ある程度は許容できてしまうものでもあり、先ほど挙げたPoison Ideaのドキュメンタリーも、Poison Ideaのことが好きでなかったら、巨漢(撮影時はややスリムになっているが)ヴォーカルが何かくっちゃべってるだけ、と思われるのかもしれない。
 比べるのも失礼な話なのかもしれないが、フレデリック・ワイズマンの一連のドキュメンタリー作品のような、決められた被写体を徹底的に撮って、膨大な量の映像を編集で仕上げる、という種類の〈パンク・ドキュメンタリー〉などは、ワイズマン自身がパンクをターゲットにしてくれない限り見ることもないだろう(そしてそれは遅くとも80年代のうちに撮られるべきだった)。一般にロック、パンク関係のドキュメンタリーは、被写体に近すぎる人物が制作しているからか、深みや発見があまりなく、すでに知っている情報におまけが付いてくる程度のものが多い。もちろん実際に目にすることのなかった「過去」が映像としてアーカイブされたものは資料的価値はある。ただそれ以上に、どこの誰が撮ったかもわからないようなライブの映像を、かつてはコピーで出回ったVHSで、今ならYoutubeで見ている方が、より生々しいものが見れて面白いのかもしれない。そして今も現役で活動しているバンドであれば、ライブを見に行けばよい。

 さて、ドキュメンタリーの話はこれくらいにして、ここではパンクと劇映画の関係について考えていきたい。
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Some notable books in 2020/2020年に印象に残った本

今さらですが、昨年Gray Window Pressで話題になった本を(とりあえずタイトルだけ)挙げておきます。
こう見るとパンク回想録はやはりよく書かれていますね。
(各書籍へのコメントは後日追記するかもしれません)

鈴木智士:
・Hard-Core: Life of My Own/Harley Flanagan(Feral House)※鈴木による書評はこちら
・コバニ・コーリング/ゼロカルカーレ、栗原俊秀(訳)(花伝社)
・誰が音楽をタダにした?──巨大産業をぶっ潰した男たち/スティーヴン ウィット、関美和 (訳)(ハヤカワ文庫)
・五・一五事件 海軍青年将校たちの「昭和維新」/小山俊樹(中公新書)
・Nick Blinko/Nick Blinko(Zagava)

AK Acosta:
・This Is Memorial Device/David Keenan (Faber & Faber)
・Vernon Subutex 1/Virginie Despentes (Fsg Originals)
・Mutations: The Many Strange Faces of Hardcore Punk/Sam McPheeters (Rare Bird Books)
・Sigh, Gone: A Misfit’s Memoir of Great Books, Punk Rock, and the Fight to Fit In/Phuc Tran (Flatiron Books)
・The Flamethrowers/Rachel Kushner (Scribner)

2020年よく聞いた音源/Sound we listened to in 2020

今年もよろしくお願いします。

だいたい毎年ブログやTwitter等に書いていた「その年よく聞いた音源」を、こちらに掲載しておきます。
今回はDebacle Pathにレビューや寄稿で協力してもらってる久保氏とTerroreye氏にも参加してもらいました。以下それぞれ順不同。(鈴木)


久保景(Deformed Existence)

・Disabuse/Demos Of War (Rødel Records)
現在も活動を続けるカナダのベテラン・グラインドExistench。その前身バンドであるDisabuseが1990年に残した2本のデモを纏めたLP。Disabuseといえば、Extreme Noise TerrorとDisruptのメンバーによる同名プロジェクト・バンド(1994年リリースのEPは名作)がよく知られているが、カナダのDisabuseの方も実に味わい深いズタボロ・ステンチ・クラストだ。Doom/Extreme Noise Terror/Sore Throat影響下のストレート・フォワードなクラストコアを聴かせるDemo1、Napalm Death等の影響も消化し、後のExistenchへと繋がっていくようなグラインド色を強めたDemo2と共に必聴。

・Excrement Of War/Cathode Ray Coma
90s UKクラスト裏番長が残した唯一のアルバム。実を言うとPhobia Recordsからのアナログ再発盤は買ってないんだけど、近年の再発ラッシュには正直、驚きを隠せずにいる。だって、Excrement Of Warだぜ?!(笑) 世界中から掻き集めても、このバンドを好きだという人間は私を含め30人くらいだろうと、ずっと思っていたのだが…。それだけこの時代のクラストの再評価が広く浸透してきたという事か。まあ、ここまで書いといて、彼等の前身バンドであるBacteriaのDemoを聴く事の方が実はずっと多かったんだけど。

・Hellbastard/Genocidal Crust:The Demos 1986-1987
ペルーのHelvetet Recordsによるリイシューで、名作Demoの“Ripper Crust”、“Hate Militia”を収録した2in1 CD。数年前に某レコ屋で回収した同内容の粗悪ブートCD-Rの音飛びに悩まされつつ生きてきた私にとっては、心底待ち侘びたリリースだ。ダイ・ハード・エディションにはステッカーとポスターが付属しており、ステッカーの方はベース・ギターに早速貼り付けた。音に関しては最早説明不用だろう。“クラスト”の原初にして、1つの完成形をも提示したマスターピースである。

・Kruelty/A Dying Truth (Daymare Recordings)
遅ればせながら2019年の8月に初めて観たライヴでの圧倒的なウォール・オブ・サウンドと鬼気迫るステージングに圧倒されて以来、私はKrueltyに対して嫉妬、もしくは羨望にも似た感情を抱き続けている。記念すべき1stフル・レングスとなる今作も、スタジオ録音ならではの極悪且つ緻密なサウンド・プロダクションとドス黒いデス・ドゥーム・リフが突き抜けまくっている。早く対バンしたい!

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Terroreye(Kaltbruching Acideath)

・John Wiese/Magnetic Stencil/1 (Helicopter)
Sissy Spacekの活動などで知られるLAのノイズ作家による、他人から提供された音素材(今回はHair Stylisticsや元Wolf EyesのAaron Dilloway等)を使用して製作するシリーズの第一弾(vol.2も発表済み)。各素材の音の切断面をスリリングに聴かせていく構成力は流石の一言。この箇所の素材は誰が作ったんだろうなと考えながら聴くのも楽しい。

・V.A/We Need Some DISCIPLINE Here. (Self-Released)
小岩Bushbashで定期的に開催されているKLONNSとGRANULE(RIP)の共同企画から発展したコンピ。ウィッチハウスから始まりクラスト、EBM、トラップと様々な音楽が混在した内容は人によっては昔のRAWLIFE等を想起するかもしれないが、享楽的なパーティーノリは一切なく、冷たく黒いムードが全体を覆っている。この不穏さがある意味Disciplineという言葉を体現していると言えるのかも。

・Anisakis/大いなる (TAGUCHI SOUND)
日常的だが奇妙な雰囲気の情景描写が中心の歌詞(メンバーが自由律俳句の創作もやっているらしい)と、タイトなポストパンクスタイルの演奏が不思議なバランスで混じり合い、緊張感とオリジナリティを生み出している怪盤。8月に渋谷で観たレコ発ライブも素晴らしかった。

・Jim O’Rourke/Shutting Down Here (Portraits GRM)
GRM(フランス音楽研究グループ)が新しく始めた、現行の作家による電子音楽シリーズの第一弾。流石GRMというべきか、音の鳴り方が素晴らしくアナログ至上主義では決してない筆者でもレコードという媒体の出音の良さを改めて感じることが出来た。もちろん内容は言わずもがなで、ジム・オルークのエレクトロアコースティック作品の中でも指折りの出来。ちなみにアートワークはsunn0)))のスティーヴン・オマリーが担当。

・Roland Kayn/Scanning (Reiger Records Reeks)
サイバネティックミュージックと評された電子音楽家の82年から83年にかけて制作された未発表音源集(リマスターはジムオルークが担当)。CD10枚組というボリュームもさることながら、音の方も有機的な電子音のアンサンブルが、まるで膨張し続ける宇宙空間のような果てしないスケールを感じさせる。

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鈴木智士(Gray Window Press)

・Ulver/Flowers of Evil (House of Mythology)
前々作あたりから完全にシンセ・ポップに振り切ったUlverの新作。Garmの声はさらに心地よくなって、とにかく聞きやすくてひたすらリピートしてよく聞いた。ジャケは『裁かるるジャンヌ』で、キャッチーな3曲目には『マッドマックス2』の写真で、その次のページ、“Hour of the Wolf”とベルイマンの映画から拝借したと思しきタイトルの曲の横には『顔のない眼』の娘の全身ショットが載ってて、最近は映画にインスパイアされて曲作ってるのかなと(ただ『顔のない眼』の肖像権クレジットには「“Woman without a Face” 監督:グスタフ・モランデル」と書かれてて、どうやらベルイマンに引っ張られた誤植っぽい…)。

・Cro-Mags/In the Beginning (Mission Two Entertainment)
面白かったハーレー・フラナガン自伝を読んだからというわけではなく、ほとんど2020年版“The Age of Quarrel”ともいえるこの緊張感が、あれこれ起きた末にCro-Magsの名義でついに戻ってきたんだなと確認できるアルバム。ハーレーも出てる“Between Wars”という映画に提供したインスト音源も収録。

・Kali Malone/The Sacrificial Code (iDEAL Recordings)
アンビエントやドローンを熱心に追いかけてるわけじゃないので、このオルガンの音がどうとかこれらCD3枚のそれぞれの音の違いがどうとか細かく説明することはできないが、メロディと音の質感、音の「間」が中毒的に心地よく、仕事中に、寝るときに、これは本当によく聞いた。私の葬式ではこれを大きめの音で流しといてほしいです。

・Funereal Presence/Achatius (Sepulchral Voice Records)
お世話になってるRecord Boy大倉氏からいつもこのあたりは教えてもらうんだけど、これはNegative Planeのドラムのソロ・プロジェクトの2nd。ただLPは買い逃したのでとりあえずmp3で聞いただけだが、これがオカルト・ブラックメタルの変異種の小物としておくにはもったいないクオリティだった。高校生のころに初めてEmperorの“Anthems to the Welkin at Dusk”を聞いて、この世にはこんなにきれいで恐ろしい音楽があるのかと衝撃を受けたときと似たような感覚を39歳で再び得たのです。(特にドラムの)録音が生っぽいのに大仰で長尺な曲を聞かせるメロディはクセになる。

・Leila Abdul-Rauf/Diminution
元々フロリダでMemento Moriなんかをやって、今はベイエリアでVastumなどでギターを弾いているLeila Raufのソロ3作目。bandcampがたまにやっている、「特定の金曜には収益をそのままアーティストに渡す」日にまとめて音源を買った。基本的には少しボーカルも入ったネオフォーク~ダークアンビエントだが、管楽器が違和感なく入ってるのがポイント。まあこれも仕事用BGM、寝るとき用だったけど…。
ハードコア->デスメタルという流れはもうまったく珍しくなくなったが、そこからソロを始めるという選択肢も最近増えてきたような気がする。CDはもう金にならない(日本を除いて誰も買わない)から、bandcampと枚数限定のレコードでどれだけ生活の足しになるのかわからないが、彼女のような素晴らしいミュージシャンが音楽だけで生活していけるようになれば、もっとたくさんいいものが聞けるのになあと。

・『別冊1』で取り上げた音源、取り上げなかった音源
さすがに歌詞だけ読んで(最近ならbandcampや歌詞まとめサイトで確認できる)何かを書いたりチェックや編集するわけにもいかないので(アートワークやインサートは依然大事です)、現物を持っていない音源はいくつか買ったが、その中でもSpecial Interest/Spiralingは音楽的にも姿勢的にも新しいパンクのかたちを提示していてよく聞いた。「別冊1」に入り切らなかった音源は「2」に回します…。

Jarada(イスラエル)インタビュー

EL ZINE vol.42(2020年4月)に掲載してもらったイスラエルのハードコア・パンク・バンド、Jaradaのインタビューの転載です(写真はここには載せていません)。


昨今ますます混迷を深める世界情勢の中において、長年に渡って存在してきたパレスチナ問題はしばしば忘れ去られる。しかしイスラエル政府はその強硬政策を強め、昨年にはイスラエルのパレスチナ自治区への入植政策をアメリカ政府が「違法ではない」とするなど、同盟国のさらなる後ろ盾も強まり、この不均衡な問題については、イスラエルの一方的な強硬策を相変わらず国際社会が黙認している状態が続いている。今回は現行のイスラエルのハードコア・パンクバンド、JaradaのメンバーであるItaiに、そんなイスラエルという国家で生活するとはどういうことなのかを中心に、「イスラエル人」の持つパレスチナに対する感情のことや、盛り上がりを見せる現在のイスラエルのパンクシーンなどについて聞いた。イスラエル政府の蛮行やそれを追認するイスラエルの人たちを指すのに、主語として「私たち」(we)を使うなど、あくまで自分自身の問題として捉えている真摯な回答がとても印象的だ。
鈴木智士(Gray Window Press)

――Jaradaはいつ結成されましたか? イスラエルには徴兵制がありますが、もう徴兵には行きましたか? それとも拒否しましたか?

Itai Jaradaは2年くらい前に、それまで色々なバンドで活動してきた昔からの友人4人で結成しました。他のバンドで一緒に活動した仲間もいますよ。自分たちの生活に直接影響してくる問題や、このニセモノを“普通”として装っている社会で生きることの難しさ、過酷な資本主義制度からのプレッシャーなど、私たちが抱える“不安”の原因となるものすべてについて、ヘブライ語で歌うハードコア・バンドをそろそろやらないとなと思って。この“不安”は、私たちの誰もが生活のどこかで何らかのかたちで経験してきたものです。バンド名の“Jarada”とはヘブライ語で“不安”という意味なんです。
イスラエルでは、徴兵を拒否することはできません。拒否しようものなら、軍事刑務所に入れられて合法的に弾圧されるのが常です。ただ現実として、徴兵を“回避”することは可能です。メンバーの3人はそれをやりました。ただ私は兵役に就き、デスクワークをやりました。そのシステムの中で何か変化を起こそうとしている人たちの力になればと思ったんです。ただ今思い返すと、家族やまわりの環境のこともあって、徴兵拒否するのが怖かったと言えます。
軍隊のようなひどいシステムに入って、たくさんのことを学びました。普通の人が経験しないようなこともありましたし、軍隊での経験は、この“不安”というコンセプトには役立ちました。もちろん軍隊にいたのは最悪で、私の時間と税金を無駄にしただけだったと思いますが。
Jaradaのメンバーは、Itai, David, Ben, Deanの4人です。私たちがこれまでやってきたバンドは、The Orions, Kuskus, Uzbeks, Sweatshop Boys, Ghost Spell, Princip, Friday Night Sissy Fight, Delfin, Secret Service, Zaga Zaga, Firetruck Rally, Pink Eye Revival, Almonim Metimなどですね。忘れてるのもあるかもしれないけど。

――具体的に、現在の生活において、最も大きな“不安”は何ですか?

Itai 私個人としては、今は精神的に安定した状態にまで来たと思います。人間関係をなんとかしたり、傷ついたり、そこから立ち直ったり、ということを、何年もの間繰り返してきました。メンバーの4人とも、似たような道を歩んできたと思っています。なので自分たちの考えをまとめて、そういった感情を曲や歌詞で表現できるんだと思います。
目下不安の種となっているのは、30歳を越えた人の誰もが抱えるような、人生でまだできていないこととか、未来に対する恐怖ですね。そういった点について、バンドの曲で歌っています。年を取ると、いい生活が送れないのではと心配になりますよね。あとはこの国を牛耳っている連中が取る行動も、不安とは大いに関係しています。そういった連中は、私たちの世代を本当に破滅へと導くのではないかと思います。経済的にも、一般的にもという意味においてです。
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